体験談~刑務所看護師とは?仕事内容や給料など詳しく解説
「刑務所看護師ってどんな仕事をするの?」 「刑務所に勤務するのであれば、仕事は危険なの?」 と思う方は多いのではないでしょうか。 文字どおり、刑務所の中で受刑者へ看護を行うことが刑務所看護師の仕事です。ただし、詳しい仕事内容や病院勤務との違いについて知っている方は少ないでしょう。 この記事では、刑務所看護師の仕事内容やどうすればなれるかなどを詳しく解説していきます。
刑務所看護師とは
刑務所看護師とは、刑務所に勤務して受刑者の体調管理やケガの処置をしたり、身体や精神に疾患を抱えている受刑者の看護を行ったりする看護師のことです。
法務技官に区分される
刑務所看護師の勤務場所は法務省管轄の刑務所のため、「法務技官」という国家公務員として勤務することになります。そのため給与や待遇は国家公務員に準じます。
勤務場所は一般刑務所と医療刑務所の2種類に分かれる
刑務所看護師の勤務場所は、一般刑務所と医療刑務所に分かれます。それぞれ仕事内容や勤務形態が異なっています。 一般刑務所は、刑務所・少年刑務所・少年鑑別所などを指し、全国各地に配置されています。 医療刑務所は、心身に疾患がある受刑者へ専門的な治療を施す機能を有する矯正施設のことです。以下のとおり、医療刑務所は全国に4箇所あります。
東日本成人矯正医療センター(東京都)…精神疾患のある受刑者が収容の主な対象
大阪医療刑務所(大阪府)…身体の疾患または精神疾患のある受刑者が収容の主な対象
岡崎医療刑務所(愛知県)…精神疾患を有する男性受刑者が収容の主な対象
北九州医療刑務所(福岡県)…精神疾患のある受刑者が収容の主な対象
刑務所看護師の仕事内容
一般刑務所と医療刑務所における刑務所看護師の仕事内容について解説します。病院勤務との違いについても併せて紹介するので、以下で見ていきましょう。
一般刑務所での仕事内容
一般刑務所に勤務する刑務所看護師の主な仕事は、受刑者の体調不良時の看護や、ケガの手当です。受刑者の健康チェックや健康診断時の補助業務、カルテ整理などの書類対応も行います。
医療刑務所での仕事内容
医療刑務所では、専門的な医療行為を必要とする受刑者が収容されているため、仕事内容も一般的な病院と似ています。 医療刑務所における刑務所看護師の主な仕事は医師の診療・手術補助や検査の介助、注射や点滴などの処置です。治療途中の受刑者が出所する際や、医療刑務所で対応できない医療行為が必要な場合の転院手続きも行っています。
病院勤務との違い
一般的な病院に勤務する看護師と刑務所看護師の違いは、「矯正医療」に携わるか否かです。 矯正医療とは、刑務所や少年院などに収容されている受刑者に対する保健衛生および医療提供のことを指します。 刑務所看護師は、規律を重視して受刑者の更生に取り組む環境下で、健康管理や感染予防を行います。刑務所看護師でなければ経験できない看護を行えます。
刑務所看護師として働くメリット
刑務所看護師は一般的な病院とは異なる環境で働いています。刑務所看護師として働くことでどのようなメリットが得られるのでしょうか。
安定した収入かつ好待遇である
民間が運営する病院は、経営状態が不安定になる可能性があります。場合によっては、給与が下がってしまったり、病院が倒産して職を失ってしまったりするリスクもゼロとは言い切れません。一方、刑務所看護師は国家公務員となるため、収入の安定が保障されています。さらに、国家公務員は勤続年数により給与が上がるシステムのため、将来的に収入増が見込めることも魅力です。刑務所看護師として就職・転職すれば、給与面で不安を感じることなく働き続けられるでしょう。
患者との会話が苦手でも働きやすい
刑務所看護師は、受刑者と直接話すことがほぼありません。受刑者には刑務官が常に付き添っており、コミュニケーションは刑務官を通して行います。必要最小限の会話で看護を進めていくことから、患者との会話が苦手と感じている看護師も働きやすいでしょう。 また、受刑者と刑務所看護師が二人きりになることはありません。万が一、受刑者が問題行動を起こした場合は、刑務官がすぐに対応するため、安全性は保たれているといえます。
一般刑務所は夜勤がない
一般刑務所では夜勤がありません。勤務時間は勤務先により異なりますが、基本的に7時から8時半頃に出勤し、17時頃に終業となります。また、出勤日はほとんど平日のみです。生活のリズムを崩しにくく、プライベートとのバランスが取りやすいところも魅力といえるでしょう。
医療刑務所では矯正医療のスキルが身につく
医療刑務所では受刑者へ専門的な疾病治療を行います。その中で矯正医療により深く関わることができるのは、刑務所看護師として働くうえでの大きなメリットです。 矯正医療の基本は、受刑者が更生して社会復帰できるよう医療面からサポートすることです。そのため、一般的な病院で行われる治療とは異なる側面を持っています。特に矯正医療で取り扱う精神疾患は、犯罪心理や社会復帰に対する不安と深く関わっていることがあり、矯正医療にみられる独特なものです。そのような治療に携わることで、一般的な病院で行っていない治療のスキルを身に着け、看護師としてスキルアップしていけるでしょう。
刑務所看護師の給料は?
刑務所看護師は、給料に関しても国家公務員のシステムに則って支払われます。現金給与額とは、基本給に職務手当や通勤手当、家族手当などを加えた金額のことです。前述したように、できるだけ安定した収入を得たい方は、勤務先の倒産や業績不振に左右されない刑務所看護師のほうが向いているでしょう。刑務所看護師の手当を含む平均給与と比べると、一般的な病院に勤める看護師の給与のほうが、やや下回ることが分かります。刑務所看護師の求人を調査したところ、月給で約20万円~30万円、年収換算で約300万円~450万円が相場であることがわかりました。刑務所がある地域によって金額は異なるでしょう。
刑務所看護師になるには
刑務所看護師になるには、どうすればよいのでしょうか。応募条件や採用試験について解説します。
看護師資格があれば応募できる
刑務所看護師専門の資格はなく、看護師資格があれば働けます。 ただし、職場によっては応募条件として年齢制限や臨床経験年数、経験診療科を問われることがあります。一般的に、年齢に特別な制限はありません。職歴が異なると給与基準も異なります。
採用試験は面接だけではないことが多い
刑務所看護師は公務員試験を受ける必要はありませんが、別途、採用試験は実施されます。 試験内容は勤務地により異なり、書類選考や面接のほかに、筆記試験、小論文、作文が実施されることもあります。
求人はこまめにチェックする
先述のとおり、刑務所看護師はなかなか募集がありません。募集が出ても人気が高くすぐに募集終了となってしまうため、求人がないかこまめなチェックが必要です。募集を見つけた際は、すぐに応募することをおすすめします。